教育をぶっとばせ―反学校文化の輩たち (文春新書)



教育をぶっとばせ―反学校文化の輩たち (文春新書)

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参考価格:¥ 788 (消費税込)


定時制高校の実態
定時制高校の不良生徒とのやり取りの中で、著者が教育について改めて気付きを得る場面や卒業まで分かりあえなかった生徒との葛藤などがうまく描かれているため、定時制高校の運営の難しさが窺われる。

特に印象に残ったのは、赤点をとった生徒の両親が学校に乗り込んできて「赤点を黒点に変えろ」と迫る話。こんな馬鹿な親もいるんだ、と驚いた。

物語タッチで描かれているため、極めて読みやすく10代後半の教育に興味のある方にはお薦めできる。



定時制高校の生徒に学ぶ
定時制高校の担任によるドキュメントだが、この高校の全日制は進学校として有名だという点は興味深い。
定時制高校は本質的に社会から隠蔽されている。
全日制の生徒からもなぜ夕方登校する生徒がいるのかと不思議がられ、全日制の学生の保護者からも侵入者と間違われる有様だ。
日中働く定時制の生徒達は、半分は「社会人」である。
社会人としてのプライドを不器用ながら保とうとしてい彼らの論理をまずは明らかにしなければならない。そのため彼らを「高校生」という枠に押し込めて、指導する/指導されるという関係に持ち込むのではなく、教師の方が世間知らずな場合もあるという可能性も意識して、彼らとの「関係性の厚みを膨らませて」いかなければならない。

いわゆる金八先生ではない。
生徒がなぜ暴言を吐き暴力を振るったのか、結局わからないこともある。すべて体当たりで解決できるはずもないし、わからないまま厳しい処分を求めることもある。そういう意味で、熱血教師の美談を求めるなら肩透かしをくらうだろう。
それでも「生徒側の論理」に少しでも肉薄しようとする著者のスタンスと観察力が、毎日下っ端仕事で疲れた後に息抜きや癒しを求めて机に座っている生徒にとって、小さな救いになっているのは間違いない。

著者に「殺すぞ!」と叫んだ生徒に対して、退学処分を主張する同僚の教師たち。
「しかし、そのように述べる教師ほど、生徒と保護者との長くて険しい退学交渉の道を歩んだ経験もなければ、この問題にかかわっていく覚悟もない教師であった」
定時制の生徒は、すぐれて教師のあり方を問う存在であるし、それはどのような教育現場においても、ルールを生徒に当てはめるだけの教師がもたらすものはコミュニケーションの疲弊だけだと教えてくれる。

不良をとおして常識を疑う!?
赴任早々、教室に入って早々に、生徒から缶ジュースのパシリを要求される、そんな教室をみなさんは想像できるだろうか。授業中、遅れて入ってきた生徒に「授業してんのや?なんでや?」とすごまれる教室を、みなさんは想像できるだろうか。
本書『教育をぶっとばせ』は、某夜間定時制高校に赴任した約12年の間に筆者が直に体験した、教育現場における壮絶で濃密な不良生徒たちとのやりとり、エピソード集だ。

かのフロイトは、神経症など日常生活に支障の来した患者を通して、神経性で“ない”人の自我の健全さについて考えた。異常を通して、なぜ正常は正常たるかを考えたわけだ。本書の著者の試みは、それに似ている。既存の教育制度がまるで立ちゆかなくなっている現場に身を置くことによって初めて、上手く機能している教育制度がいかに現場の教師および生徒を抑圧しているかが、わかるというものだ。

本書はステロタイプな「不良は単に更生されるべきもの」という立場には立たない。それは既存の教育のあり方であり、不良生徒の暴言、反抗的態度の中にだって、既存の教育界の常識を常識たらしめている恣意性を暴露する営みが、見ようと思えば見て取れる。つまり、教師だって生徒から間接的に、教わることがあるのだ。それは教師としての力量以上に、自分の考え方を疑え、人の考え方を受け入れることのできる著者の素直な性格がないとなせない技だろう。本書はそうした、熱く濃密な不良生徒とのやり取りを通して、著者が既存の「教育をぶっとば」す一冊。

ただ注意すべきは、先にも書いた通り「見ようと思えば見て取れる」ということである。不良生徒の不正行為などをとおして、この人「学びすぎてる」、という感は否めない。要するに、彼の不良生徒らの振る舞いに対する解釈が、あまりにもポジティブすぎる、という気がしないでもない、という読後感も同時に残る。




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